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飲食店のSNS活用6つのポイントと注意点を解説!SNS集客の成功事例も紹介

飲食店がSNSを活用するメリット

SNSは費用をかけずに始められるため、広告予算が限られている飲食店にとって非常に魅力的なツールです。また、飲食店がSNSを活用することには、多くのメリットがあります。

飲食店がSNSを活用するメリットとして、以下が挙げられます。

  • 低コストで広範囲にアプローチ可能
  • リアルタイムな情報発信と双方向コミュニケーション
  • 視覚的訴求による来店意欲の向上
  • ユーザー生成コンテンツ(UGC)による信頼性の構築
  • データ分析による顧客理解の深化
  • 従業員のモチベーション向上と採用活動への活用

このように、SNSは飲食店にとって集客や顧客との関係構築において強力なツールとなり得ます。効果的な運用を行うことで、店舗の成長に役立てることができるでしょう。


- 低コストで広範囲にアプローチ可能

飲食店がSNSを活用することは、従来の広告手法と比較して非常にコスト効率が良いです。チラシや新聞広告などの方法だと印刷費や配布費用がかかりますが、SNSでは基本的に無料でアカウントを作成し、情報発信やブランディングを始めることができます。この点は、特に予算が限られている小規模店舗にとっては、大きなメリットとなります。

さらに、SNSは地域を超えた集客の可能性を広げます。インターネットを介して全国、さらには世界中のユーザーにアプローチできるため、地元以外からの顧客を引き寄せることが可能です。これは特に観光地に位置する飲食店にとって、訪問客を増やす大きなチャンスです。

また、SNSを活用することで、小規模店舗でも大手チェーン店と同じ土俵で競争することができます。SNSのプラットフォームは、フォロワー数やエンゲージメント、投稿の内容などによって情報の拡散力が決まるため、魅力的なコンテンツを提供することで、規模に関係なく多くのユーザーにリーチすることができるでしょう。


- リアルタイムな情報発信と双方向コミュニケーション

リアルタイムでの情報発信が可能な点も、大きなメリットです。急な営業時間変更やメニューの更新が必要な場合、SNSを通じて即座に顧客に知らせることができます。悪天候による臨時休業や、仕入れの都合で特定のメニューが提供できない場合なども、素早く情報を発信することで顧客の混乱を防ぎ、信頼性を高めることにもつながります。

また、SNSは顧客との双方向コミュニケーションを促進します。顧客からの質問やコメントに対して丁寧に対応することで、信頼関係を築くことができます。SNS上での顧客のフィードバックをもとにメニューを改善することは、顧客満足度を向上させるだけでなく、リピーターの増加にもつながるでしょう。

さらに、顧客がSNSで発信する意見や感想を定期的にチェックし、サービスやメニューの改善を図ることができます。これにより、顧客のニーズに応じた柔軟な対応が可能となり、より一層、店舗の魅力を高めることができます。


- 視覚的訴求による来店意欲の向上

SNSを活用することで視覚的に訴求することができ、来店意欲を高めるといった効果も期待できます。

InstagramやTikTokでは、料理の美しさや調理過程を動画で表現することが可能です。視覚的にインパクトのあるコンテンツを通じて、ユーザーの興味を引き、実際に店舗を訪れる動機を作ることができます。

TikTokのようなショート動画プラットフォームでは、手軽に視覚的なストーリーを伝えることができ、特に若年層に対するリーチが広がるでしょう。

さらに、AR(拡張現実)技術を活用することで、新しい視覚的訴求の可能性が広がります。メニューをスマートフォンでスキャンすると、3Dで料理が表示されるような仕組みを導入することで、顧客に新しい体験を与えることも可能です。


- ユーザー生成コンテンツ(UGC)による信頼性の構築

ユーザー生成コンテンツ(UGC)も、信頼性の構築において重要な役割を果たします。UGCとは、一般のユーザーが自らの体験をもとに作成したコンテンツのことで、これを活用することで、飲食店は自然な形で口コミ効果を高めることができます。

例えば、ハッシュタグキャンペーンを実施し、来店客に料理の写真を投稿してもらうことで、他の潜在顧客に対してリアルな体験を伝えることができるでしょう。

UGCは、第三者の視点からの評価であるため、公式な広告よりも信頼性が高いとされ、新規顧客の獲得に効果的です。実際に、他のユーザーが投稿した写真やレビューを見て、来店を決める消費者は少なくありません。

しかし、UGCを活用する際には、著作権や肖像権に注意が必要です。ユーザーの投稿を公式アカウントで再利用する場合は「事前に許可を得る」ことが重要で、そうすることで法的トラブルを避けつつ、ユーザーとの信頼関係を築くことができます。

また、UGCを活用する際には、ネガティブな投稿にも誠実に対応し、改善につなげる姿勢が求められます。


- データ分析による顧客理解の深化

SNS分析ツールを活用することで、データ分析を通じて顧客理解を深められるのもメリットです。どの投稿が最も反響を呼んだのか、どの時間帯に投稿すると効果的かなどを分析することで、ターゲットとなる顧客層に対するアプローチを最適化できます。

さらに、競合店のSNS活動を分析することで、他店がどのような施策を行っているかを知り、自店の戦略に活かすことができます。競合の成功事例や失敗事例を参考にすることで、独自のマーケティング戦略を構築しやすくなるでしょう。

しかし、データ活用においてはプライバシーの配慮が欠かせません。

顧客の個人情報を適切に管理し、データの収集や分析においては、法律やガイドラインを遵守することが重要です。具体的には、データの匿名化や、利用目的の明確化、顧客への事前通知などが求められます。


- 従業員のモチベーション向上と採用活動への活用

従業員のモチベーション向上や採用活動においても、SNS活用は大きなメリットになります。

SNSを通じて従業員の活躍を紹介することは、彼らの仕事に対する誇りを高め、モチベーションを向上させる効果があります。例えば、調理スタッフが新しいメニューを開発した際に、そのプロセスや成果をSNSで共有することで、従業員は自身の貢献が認められていると感じ、やる気が増すでしょう。

また、SNSは採用活動にも有効です。飲食業界では人材不足が課題となっており、SNSを活用した採用活動はこの問題の解決に役立ちます。

具体的には、店舗の雰囲気や従業員の働く姿をSNSで発信することで、求職者にリアルな職場環境を伝えることができます。これにより、店舗にマッチする人材を効率的に集めることが可能です。

さらに、SNS活用においては従業員のプライバシーや肖像権に配慮したガイドラインの作成が重要です。投稿前に従業員の同意を得ることや、個人情報が特定されないようにすることなどが求められます。ガイドラインがあることで、リスクを管理しつつ、安心してSNSを活用することができるでしょう。

飲食店に適したSNSの選び方と使い分け

飲食店がSNSを活用する際には、各プラットフォームの特性を理解し、適切に使い分けることが重要です。

ここでは、以下のSNSについての活用方法などを紹介します。

  • Instagram
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • TikTok
  • LINE

活用するSNSの選択においては、ターゲットとする顧客層や発信したい情報の種類に応じて、最適なプラットフォームを選び、使い分けることがポイントです。

各SNSの特性を活かし、効果的なマーケティング戦略を展開することで、飲食店の集客力を高めることができるでしょう。


- Instagram:ビジュアル重視の料理写真投稿

Instagramはビジュアル重視のプラットフォームとして非常に効果的です。視覚的な訴求力が強く、美味しそうな料理写真や店内の雰囲気を伝えられます。

また、Instagramでは「ハッシュタグ機能」を活用することで、投稿の発見性を高めることができます。地名や料理名を含むハッシュタグを使用することで、特定のエリアやジャンルを探しているユーザーにリーチしやすくなり、集客効果を高めることができます。

効果的な写真や動画の撮影には、自然光を利用することが重要です。窓際で撮影することで、料理の色合いを自然に表現し、美味しそうな印象を与えることができるでしょう。

さらに、ストーリーズやリールを活用することで「リアルタイムの情報発信」や「短い動画によるエンゲージメントの向上」が期待できます。


- Facebook:地域密着型の情報発信とイベント告知

Facebookは幅広い年齢層に利用されており、特に30代以上のユーザーが多いため、地域のコミュニティと深い関係を築くのに適しています。Facebookページを通じて、店舗の最新情報や地域のイベントを発信することで、地域住民とのつながりを強化できるでしょう。

Facebookのイベント機能を使えば、店舗で開催するイベント告知が簡単にできます。イベントページを作成し、参加者にリマインダーを送ることで、集客効果を高めることもできます。参加者を募るだけでなく、イベント終了後のフォローアップも可能です。

また、Facebookはシニア層へのアプローチにも有効です。シニア層は、時間的にも経済的にもゆとりがあるため、彼らに向けた特別なメニューやイベントを告知することで、集客につなげることができます。


- X(旧Twitter):即時性を活かしたタイムリーな情報提供

Xはリアルタイムでの情報発信が可能であり、営業情報や限定メニューの告知に最適です。急な営業時間の変更や新メニューの導入など、タイムリーな情報を素早く顧客に伝えることができます。

また、Xでも地域や料理に関連するハッシュタグを使用することで、より多くのユーザーに情報を届けることができます。「#今日のランチ」や「#○○市グルメ」といったハッシュタグを用いることで、特定の興味を持つユーザーにリーチしやすくなり、集客効果を高めることができるでしょう。

さらに、Xを通じた顧客との対話は、ブランドの信頼性を高める重要な手段です。顧客からのコメントやリプライに対して迅速かつ誠実に対応することで、顧客とのコミュニケーションを深め、ファンを増やすことができます。

このような対話は、顧客のフィードバックを直接得る機会にもなり、サービスの改善にも役立ちます。


- TikTok:若年層向けの動画コンテンツ制作

TikTokは、飲食店が若年層にアプローチするための強力なツールです。短尺動画を簡単に作成・共有できるこのプラットフォームは、視覚的にインパクトのあるコンテンツを通じて、店舗の魅力を効果的に伝えることができます。

特に、料理の調理シーンや店舗の雰囲気を動画で紹介することで、視聴者の興味を引きつけることが可能です。

TikTokの特徴の一つは、ハッシュタグや音楽を活用したバイラル効果です。トレンドに合わせたハッシュタグを使用することで、投稿が広く拡散され、より多くのユーザーにリーチすることができます。

また、流行の音楽を動画に取り入れることで、視聴者の関心をさらに高めることができます。これにより、短時間で多くの人々に店舗の存在を認知してもらえるでしょう。

さらに、従業員を巻き込んだコンテンツ作りも効果的です。従業員が出演する動画は、店舗の親しみやすさを伝えるだけでなく、視聴者との距離を縮めることができます。従業員が料理の作り方を紹介したり、店内での楽しい瞬間をシェアすることで、視聴者に店舗の魅力をリアルに伝えることができるでしょう。


- LINE:顧客との直接的なコミュニケーション

LINE公式アカウントを活用することで、飲食店は顧客に対して個別にメッセージを送信し、クーポンや最新情報を提供することができます。これは、特にリピーターの獲得に効果的で、顧客の来店を促進する手段として利用されています。

クーポン配信は、LINE公式アカウントの主要な機能の一つで、新規顧客の獲得やリピーターの増加を目指すために、友だち登録を促進するキャンペーンを展開することができます。

例えば、友だち登録をした顧客に対して、次回の来店時に使用できる割引クーポンを配布することで、再訪を促すことが可能です。

また、LINEを通じてのメッセージングには、プライバシーに配慮することが重要です。顧客の個人情報を取り扱う際には、プライバシーポリシーを設定し、情報の管理を徹底することが求められます。

飲食店のSNS集客を成功させるポイント

飲食店がSNSを活用して集客を成功させるためには、単純に料理の投稿をするだけでなく「戦略的なアプローチ」が必要になります。

以下は、SNSによる集客を成功に導くためのポイントです。

  • ビジュアル重視のコンテンツ作成
  • ストーリーテリングを活用したブランディング
  • タイミングを押さえた戦略的な投稿
  • インフルエンサーとの効果的なコラボレーション
  • ユーザー参加型キャンペーンの企画と実施
  • データ分析に基づく継続的な改善

これらのポイントを押さえつつSNSを効果的に活用することによって、店舗への集客力を高めることができるでしょう。戦略的にSNSを運用することが大切です。


- ビジュアル重視のコンテンツ作成

料理の魅力を最大限に引き出すためには、撮影テクニックが重要です。自然光を活用し、逆光やサイド光で撮影することで、料理に立体感を与え、美味しそうに見せることができます。また、構図を工夫し、料理の質感を際立たせるために「寄りで撮影する」ことも効果的です。

さらに、店内の雰囲気や特徴を効果的に伝える投稿も重要です。店内のインテリアやスタッフの笑顔を動画で紹介することで、視聴者に親しみやすさを感じてもらうことができます。これにより、店舗の雰囲気をリアルに伝え、来店意欲を高めることが可能です。

また、ARやVRを活用した次世代型ビジュアルコンテンツによる集客の可能性も広がってきているため、積極的に活用していきましょう。


- ストーリーテリングを活用したブランディング

店舗や料理にまつわるストーリーを発掘し、それを効果的に発信する方法を考えましょう。店舗の創業ストーリーやシェフの料理に対する情熱を伝えることで、顧客に親近感を持ってもらうことができます。

こうしたストーリーは、単なる商品説明を超えて、顧客との感情的なつながりを築く手段となります。

さらに、シェフや従業員の人間味を伝える投稿も重要です。

スタッフの紹介や日常のエピソードをシェアすることで、顧客は店舗の裏側を知り、より親しみを感じるようになります。特に、スタッフがどのように料理を作っているか、どんな思いで接客をしているかを伝えることで、顧客は店舗に対する信頼感を深めてくれます。

また、顧客の体験談を活用したユーザー参加型のストーリー作りも効果的です。

顧客が自らの体験をSNSでシェアし、その投稿を店舗の公式アカウントでリポストすることで、顧客との双方向のコミュニケーションが生まれます。これにより、顧客は自分が店舗の一部であると感じ、リピーターとしての意識が高まるでしょう。


- タイミングを押さえた戦略的な投稿

投稿のタイミングを戦略的に考えることも重要で、例えば「飯テロ」効果を狙った夜間帯の投稿戦略があります。

多くの人がリラックスしてSNSを閲覧する夜間に、視覚的に魅力的な料理の写真や動画を投稿することで、視聴者の食欲を刺激し、来店意欲を高めることができます。特に、18時から22時の間は多くのユーザーがアクティブであるため、この時間帯を狙った投稿が効果的です。

さらに、季節やイベントに合わせたタイムリーな情報発信もポイントです。季節限定メニューやイベント情報を事前に告知することで、顧客の関心を引きつけ、来店を促すことができます。

また、AI技術を用いて過去のデータを分析し、フォロワーのエンゲージメントが高まる時間帯を特定することで、より効果的な投稿が可能になります。さらに、自動投稿ツールを使用することで、より効率的な運用が可能となるでしょう。


- インフルエンサーとの効果的なコラボレーション

インフルエンサーとの効果的なコラボレーションも、飲食店のSNS集客には欠かせません。特に、地域や料理ジャンルに特化したマイクロインフルエンサーを活用することで、ターゲット層に直接リーチすることができます。

マイクロインフルエンサーはフォロワー数が少ない分、フォロワーとの距離が近く、信頼性の高い情報を発信できるため、飲食店の魅力をより効果的に伝えることが可能です。

また、インフルエンサーとの長期的な関係構築も重要です。単発のコラボレーションではなく、継続的な関係を築くことで、インフルエンサーのフォロワーを自店のファンに変えることができます。そうすることで、ブランド認知の向上やリピーターの獲得につながります。

さらに、コラボメニューの開発など、独自性のある取り組みを行うことで、インフルエンサーのフォロワーに新たな体験を提供することができます。例えば、インフルエンサーと共同で特別なメニューを開発してSNSで紹介することで、話題性を高めて集客効果を向上させることができるでしょう。


- ユーザー参加型キャンペーンの企画と実施

ユーザー参加型キャンペーンを企画して実施することも集客に効果的です。

UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用することで、自然な形で口コミを広げることができます。例えば、特定のハッシュタグを用いた投稿キャンペーンを実施し、参加者に抽選で特典を提供することで、SNS上での拡散を促進できます。

ハッシュタグキャンペーンを成功させるためには、簡単で参加しやすいテーマを設定することが重要です。「#○○でランチ」や「#○○のおすすめメニュー」といった具体的なハッシュタグを提案し、ユーザーが投稿しやすい環境を整えましょう。そうすることで、参加者が増えて投稿が広がりやすくなります。

さらに、バーチャル空間を活用した新しいキャンペーン形式も注目されています。VRやAR技術を用いて、仮想的な店舗体験を提供することで、遠方の顧客にも店舗の魅力を伝えることが可能です。

バーチャルツアーを通じて店内の雰囲気を体験してもらったり、ARで料理の3Dモデルを表示したりすることで、ユニークな体験を提供できるでしょう。


- データ分析に基づく継続的な改善

データ分析に基づく継続的な改善は、SNSによる集客には不可欠です。まず、各SNSプラットフォームの分析ツールを活用することで、投稿の効果を客観的に評価しましょう。

Instagramのインサイト機能を使えば、投稿のリーチやインプレッションを詳細に分析でき、戦略的な投稿計画を立てることができます。

さらに、A/Bテストを用いることで、投稿内容の最適化を図ることが可能です。異なるバリエーションの投稿を試し、その結果を比較することで、どの要素がフォロワーの反応を引き出すかを明確にします。これを繰り返すことで、集客効果があるコンテンツをより効率的に作ることができるでしょう。

また、過去のデータをもとに顧客の行動パターンを予測し、個々のニーズに合わせたコンテンツを発信できれば、リピーターの増加を促進することができます。

飲食店のSNS運用における注意点とリスク管理

飲食店がSNSを活用する際には、リスク管理がとても重要です。SNSは高い拡散力を持つため、些細な問題が大きな炎上に発展する可能性があります。

SNSがきっかけで大きなトラブルが起こらないよう、常に細心の注意を払いましょう。

また、飲食店がSNS運用でトラブルを起こさないためには、リスク管理を徹底し、適切な対策を講じることが不可欠です。

そのためにも、これから解説する運用上の注意点については、しっかり理解しておきましょう。


- 従業員による不適切投稿のリスク

飲食店におけるSNS運用では、従業員による不適切な投稿が大きなリスクとなります。

例えば、アルバイトスタッフが食洗機に入る様子をSNSに投稿し、それが拡散されて店舗の評判が著しく損なわれた事例があります。このような「バイトテロ」は店舗のイメージを損ね、最悪の場合、営業停止や閉店に追い込まれることもあります。

このようなリスクを防ぐためには、従業員向けのSNS利用ガイドラインを作成し、徹底した教育を行うことが不可欠です。ガイドラインには、店舗内での写真や動画の撮影禁止、SNSでの店舗名や個人情報の発信制限などを明記し、従業員がSNSの影響力を理解するように促します。

また、定期的な研修を通じて、従業員にリスク管理の重要性を認識させることが重要です。

さらに、店舗イメージを守るために、従業員のSNS投稿をモニタリングする方法も有効です。自社での監視体制を整えるか、外部の監視サービスを利用することで、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。そうすることで、炎上を未然に防ぎ、店舗の評判を守ることができます。


- 顧客からのクレーム対応と拡散防止

飲食店がSNS上で顧客からのクレームに直面した際、初期対応はとても重要なポイントです。

まず、クレームが発生したら迅速にその内容を把握し、事実確認を行います。事実確認を怠ると誤った情報が拡散され、店舗の評判に大きな影響を及ぼす可能性があるからです。

クレームの内容が事実であると確認できた場合、速やかに投稿者に連絡を取り、誠実に謝罪しましょう。

SNS上など公開の場での謝罪や対応については、慎重な言葉選びが重要です。感情的な反応を避け、冷静かつ丁寧に対応することで、顧客との信頼関係をつなぎ止めることができます。

また、クレーム内容が誤解や勘違いに基づくものである場合は、事実に基づいた説明を行い、誤解を解く努力が必要です。


- 炎上リスクの予防と対策

炎上リスクを予防するには、定期的なSNSチェック、いわゆるエゴサーチの実施が重要です。これにより、自店舗に関する投稿を早期に発見し、迅速な対応が可能となります。

SNS上でのネガティブな投稿を放置しておくと、瞬く間に拡散されて店舗の評判に悪影響を及ぼすため、早急に対応することが大切です。

また、炎上のトレンドや対応の好事例を常に把握することも重要です。最新情報を収集するためには、業界のニュースサイトやSNS関連の専門メディアを定期的にチェックし、成功事例や失敗事例から学びましょう。

もしも炎上が発生してしまった場合、こちらも初期対応がポイントになります。迅速に事実確認を行い、誠実な謝罪と具体的な対応策を公表することで、事態の沈静化を図りましょう。


- プライバシーと個人情報保護への配慮

顧客や従業員の写真を投稿する際には、必ず本人の同意を得ることが重要です。プライバシーの侵害を避けるため同意書を用意し、書面またはデジタル形式で同意を取得することが推奨されます。

また、位置情報やタグ付けに関しても注意が必要です。無断で位置情報を公開すると、顧客のプライバシーを侵害する可能性があります。タグ付けについても、本人の許可を得た上で行いましょう。

さらに、GDPR(一般データ保護規則)などの国際的な個人情報保護法への対応も考慮する必要があります。GDPRは、EU域内の個人データを扱う際に厳格な基準を設けており、データの収集・処理には明確な同意が必要です。

日本の飲食店であっても、EU域内の顧客データを扱う場合には、GDPRに準拠した対応が求められます。


- 著作権侵害のリスク回避

店内で流すBGMや装飾品に関する著作権にも注意が必要です。

商用利用に該当するため、購入したCDや個人向けのサブスクリプションサービスを無断で使用することは違法となります。JASRACなどの著作権管理団体と契約を結ぶことにより、合法的に音楽を使用することが可能です。

また、他者の投稿や画像を無断で使用することも著作権侵害に該当します。

SNSで見つけた画像やテキストを無断で転載することは、著作権者の権利を侵害する行為となり、法的な問題を引き起こす可能性があります。そのため、使用する際には必ず著作権者の許可を得るか、著作権フリーの素材を利用しましょう。

著作権フリー素材を使用する際にも、利用規約を確認し、定められた条件を遵守することが大切です。多くのフリー素材は商用利用可能ですが、中にはクレジット表記が必要な場合があるため注意してください。

飲食店のSNS活用成功事例

飲食店がSNSを活用して成功を収めた事例は、国内に数多く存在します。今回は国内の飲食店から、3つの成功事例を紹介します。

  • 飛騨牛レストラン下呂松葉
  • 北海道めんこい鍋 くまちゃん温泉
  • CARNIVAL

これらの事例から学べるのは、SNSを通じて視覚的な魅力を最大限に活用し、ユーザーとのコミュニケーションを強化することが成功のポイントであるという点です。

さらに、ユニークなキャンペーンやエンターテイメント性のあるコンテンツを提供することで、他店との差別化を図りながら集客力を高めることができるでしょう。


- 飛騨牛レストラン下呂松葉

「飛騨牛レストラン下呂松葉」は、SNSを効果的に活用して「観光客」や「地元のリピーター」を獲得した成功事例です。InstagramとLINEという2種類のSNSを使い分けることで、多様なターゲット層にアプローチしています。

下呂松葉では、観光客が検索しそうな「#飛騨グルメ」や「#下呂温泉」など、立地と利用動機を組み合わせたハッシュタグを活用して情報を発信しています。これにより、訪日観光客や地元の観光客の目に留まりやすく、結果として来店につながっています。

また、LINEを活用してリピーターの集客にも力を入れており、登録後のブロック率を下げるために店内POP作成に工夫を凝らしています。

参考:日本政策金融公庫「小さなお店のためのSNS活用術」


- 北海道めんこい鍋 くまちゃん温泉

「北海道めんこい鍋 くまちゃん温泉」は、SNS映えする商品を開発し、特にInstagramを中心にその魅力を広めることで、国内外の多くの顧客を引きつけています。

くまちゃん温泉の成功ポイントは「映え商品」の開発にあります。食物繊維とコラーゲンで固めた熊の形をしたスープの素は、ユニークな見た目がSNS上で話題を呼びました。特に、若年層や訪日観光客に人気があり、SNSでの拡散を通じて認知度を大幅に向上させました。

さらに、Instagram経由でメディアからの取材依頼が来るようにもなり、さらに知名度が広がるという好循環となっています。

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「SNSで「映え商品」を拡散、飲食店の新たなスタイルを確立」


- CARNIVAL

「CARNIVAL」は、Facebookを中心に情報を発信して集客に成功した事例です。メニューや雑貨などの写真を毎日投稿するだけでなく、ライブ配信も取り入れています。

Facebookページの投稿には、ハッシュタグ、店舗名、住所、電話番号、営業時間を入れるようにし、できるだけ多くの人から検索してもらう工夫をしています。

このように、狙ったターゲット(20代から60代の女性)に直接アピールすることで、顧客からの反応を見ることができた点も成功のポイントです。

また、食料品のほかにも雑貨も販売しており、これを目当てに来店するファンたちもいます。

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「SNSを活用して情報を発信、店舗のファンが急増」

飲食店のSNS活用における今後のトレンドと展望

現在、InstagramやTikTokでの話題性は、飲食店のSNS集客の成功を左右する重要なポイントとなっています。

これらのプラットフォームは、特にZ世代を中心とした「若い世代の食の楽しみ方や価値観」に大きな影響を与えています。彼らは、単に美味しい料理だけでなく、見た目の美しさやストーリー性、SNSでの共有性を重視し、食事をコミュニケーションのツールとしても捉えています。

さらに、環境に配慮したメニューや取り組みに関する発信が増えることも予想されます。エコフレンドリーな食材や調理法を取り入れたメニューは、特に意識の高い消費者に支持されるでしょう。

また、健康志向の高まりにともなって「低カロリーや栄養価の高いメニュー」のアピールも必要です。

今後、飲食店がSNSを運用していくには、このようなトレンドを踏まえながら新たな顧客層を開拓し、リピーターを獲得するための戦略を構築する必要があるでしょう。

【記事監修者】

瀧井 朝永

食品管理者/飲食店オーナー。
鰻屋で調理経験を積み、その後割烹料理屋での経験を経て、パブやレストラン、ダイニングバーなど複数の飲食店を経営。現在は、東京・日暮里で「くいもの居酒屋Foods bar」を営む。

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